「代替品ある?」に答えるAIチャットを作りました──商社さまの一次問い合わせを肩代わりする"AI窓口"

ある技術商社さま向けに、営業デモ用の「AIチャット」を作りました。お客様が毎日受けている一次問い合わせ──「この廃番部品の代わりはありますか?」「この機器、200Vで使えますか?」「この型式、まだ在庫ありますか?」といった問い合わせに、AIが一次対応する"窓口"です。
この記事では、実際にどんなことができる窓口なのかをご紹介します。
こんな場面のためのAIです
技術商社は、扱うメーカーも型式も膨大です。そこに毎日、こんな問い合わせが入ります。
- 「この部品、廃番みたいなんですが代わりはありますか?」
- 「この機器、うちの設備(200V)で使えますか?」
- 「この型式、いま在庫ありますか?」
一件ずつは数分でも、積み重なれば営業やサポートの時間をかなり食います。しかも多くは「調べれば分かる」種類の問い合わせで、そのたびにベテランの手が止まってしまう。この一次対応をAIが引き受けて、人は確度の高い相談に集中する。そのための窓口です。
できること①:メーカーを横断して代替品を提案する
廃番部品について聞かれると、AIは同じメーカーの後継機と他メーカーの同等品の両方を検討して提案します。商社は特定メーカーの代弁者ではなく、複数メーカーを横断して比較・提案できる立場だからです。
このとき「完全に互換なのか」「注意点つきの代替なのか」を必ず区別して答えます。曖昧なまま「これで大丈夫です」とは言わせません。
できること②:対応電圧や仕様の一次確認
「この機器は200Vで使えるか」といった、カタログを引けば分かる確認も、AIがその場で答えます。海外規格との違いや、入出力信号の互換性といった、"よくあるけれど毎回調べるのが手間"な確認を肩代わりします。
できること③:型式・在庫リストの検索
お客様から頂いた在庫リスト(485型式ぶん)を読み込ませてあり、「この型式、扱いはある?」といった検索にも答えます。
ここは正直な設計にしてあります。今回のリストが持っているのはメーカー・カテゴリ・型式だけなので、価格や在庫数を聞かれたら「営業担当より個別にご案内します」と正直に返す。この「価格・在庫数を実データ連携で返す」ところは、次のフェーズでのご提案として温存しています。
ビフォー・アフターで言うと
| Before(いまの一次対応) | After(AI窓口を挟むと) | |
|---|---|---|
| 誰が受けるか | 営業・サポートの担当者 | まずAIが受ける |
| かかる時間 | 1件ごとに調べて返信 | その場で即答 |
| 人の役割 | 一次対応で手が止まる | 確度の高い商談・難しい相談に集中 |
「AIならできますよ」と口で言うより、実際に画面で動かして見ていただくと伝わり方がまったく違います。今回はそれを、お客様の実データを使って触れる形にしました。
顧客向けだけじゃありません──社員さんの"社内の困りごと"にも効きます
このAI窓口を用意する中で見えてきたのが、商社ならではの社内事情でした。じつは、いま挙げた一次問い合わせの多くは、社内でも同じように「調べるのが手間」なのです。
営業さんは、自社が扱っているメーカーはもちろんご存じです。ところが、取扱商品の一覧すべてが頭に入っているわけではありません。「うちってこのカテゴリ、どのメーカーを扱っていたか」「このメーカーとこのメーカー、どちらがこの用途に向くか」といった、メーカーをまたいだ比較は、ベテランでも即答しづらい場面があります。
情報は社内のExcelなどにまとまってはいるものの、開いて、探して、見比べるのが手間。結局は詳しい人に聞く、という運用になりがちです。
同じAI窓口は、この社内の困りごとにもそのまま効きます。参照している情報源(検証済みのQ&Aと型式データ)は、顧客対応と社員の"社内ナレッジ検索"で共通だからです。社員さんが「これの代替、うちだと何を出せる?」とチャットで聞けば、Excelを目で追わなくても候補が返ってきます。お客様への一次対応と、社員さん向けの社内検索が、ひとつの仕組みで回る。新しく入った方の立ち上がりが早くなる、という副次効果も期待できます。
安心してお客様に見せられる理由
デモAIの一番の敵は、間違いではなく"それっぽく聞こえる嘘"です。AIは聞かれると答えたくなり、手元にデータが無くても「ちょうど35個ございます」と言い切ってしまうことがあります。デモの場でこれが1回出れば、その瞬間に信用を失います。
そこで、このAIは裏取り済みの情報源だけを参照し、無い情報は正直に「確認します」と言う設計にしています。さらに、わざとAIを壊しにいく検証質問を27問用意し、嘘や思い込みが出るパターンを一つずつ潰しました。急かされても要件が曖昧なまま型式を断定しない、持っていない在庫数や価格を作り話しない──こうした"崩れない"作り込みがあって、はじめてお客様の前で動かせるデモになります。
賢く答えることより、嘘をつかせないことを先に固める。ここがAIを実務に載せるときの勘所だと考えています。
商社に限らず応用できます
今回は技術商社さま向けに作りましたが、この形は業種を問いません。型式・在庫・規程・FAQなど「調べれば分かるが、毎回調べるのが手間」な一次問い合わせが多い業務なら、同じ考え方で"AI窓口"を作れます。
Blue Leafでは、こうした「実務で使えるAI」のデモやPoCを、要件の壁打ちから作っています。自社の業務でAIに何を任せられそうか気になる方は、お気軽にご相談ください。導入イメージや事例も、これから順次ご紹介していきます。
