Claude Code活用 #14 毎週の授業前メールを、リンク切れチェックまで込みでAIに任せた

派手なタスクをAIに任せる話は、これまでの連載でも何度か紹介してきました。今回は少し毛色が違って、毎週決まってやってくる、地味だけれど落とせない定型業務を、品質チェックまで含めてAIに任せている話です。
私は仕事のかたわら、外部講師として大学のプログラミング講座を毎年担当しています。授業は毎週金曜日。その前日(木曜)に必ず送るメールが1通あります。これを、いまはClaude Codeに一連の流れとして任せています。
毎週木曜にやってくる、落とせない1通
送っているのは「次回の演習ファイル配布メール」です。担当の先生と、運営サポートの方2名(CC)に宛てて、次の授業で使う教材をダウンロードするための curl コマンドと、演習内容のサマリを送ります。
本文の中身はだいたいこんな構成です。
- 挨拶(「明日の第N回・M/D金の演習ファイルです」)
- 受講生が教材を取得するための
curlダウンロードコマンド(Windows / Mac 共通) - その回の演習内容(課題名とレベル)
- 前年度からの変更点(あれば)
1通あたり手で書いても10分程度の作業です。ただ、毎週・全14回、確実に落とさず送り続けるとなると、地味に神経を使います。
- 今日は「第何回」なのか。休講が挟まると回数がずれる(実際、今年度は6月末に1回休講があり、そこで2週間空きました)
- CC の宛先を毎回間違えずに入れる
- そして一番怖いのが、配布ファイルのリンクが切れていないか。100名を超える受講生が一斉に
curlを叩いて「ファイルが落とせません」となったら、授業が止まります
この「毎週・回数ずれ・リンク切れ」という3つの地味なリスクが、まさにAIに任せたくなる理由でした。
AIに任せられる形に整える
まずやったのは、過去2年分の送信メールをAIに読んでもらって、全14回分のテンプレートに整理してもらうことでした。回ごとに「配布コマンド・演習内容・前年度からの差分」を1ファイルにまとめ、これを"正"のデータとして持たせます。
その上で、毎週の一連の流れを一つの手順(スキル)としてまとめました。木曜日に「次回の授業前メール作って」と一言頼むだけで、AIが次の流れを通してくれます。
- 今日の日付とスケジュール表から、次回が「第何回」かを判定する
- その回のテンプレートを読み込む
- 配布ファイルのURLが生きているかを1本ずつチェックする
- 本文を組み立てて、宛先・CC・件名・本文を提示してレビューを求める
- 私の承認後、Gmailの下書きとして作成する
- 最終確認用に、下書き一覧をブラウザで開く
実際に先日(第11回)の依頼をしたときの、AIとのやり取りはこんな具合でした。
私「明日授業があるから、先生にメールを送りたい」
AI「明日は第11回ですね。テンプレートを読みます」 → 該当回の内容(Jupyter Notebook / 統計)を読み込み → 配布する3ファイルのURLを死活確認:3つとも 200 OK → 本文を組み立てて提示「この内容で下書きを作成します。ご確認ください」
私「ok」
AI「下書き作成できました。Gmail 下書き一覧を開きます」
一言から下書きまで、私がやったのは内容の確認と「ok」だけです。
品質を担保する「リンク切れチェック」
この作業でいちばん任せてよかったと感じているのが、配布URLの死活確認です。
教材ファイルはサーバー上に置いてあり、ファイル名を変えたり差し替えたりすると、当然リンクが変わります。手作業だと「たぶん去年と同じだから大丈夫だろう」で送ってしまいがちです。ですが実際に受講生が叩くのは配布したコマンドそのものなので、リンクが1本でも切れていれば、その場で授業が滞ります。
そこでAIには、メールを組み立てる前に必ず、配布する全ファイルのURLへHTTPステータスを確認させています。
for url in \
"https://example.com/python1/kadai/stat_practice.ipynb" \
"https://example.com/python1/kadai/jpstats.csv" \
"https://example.com/python1/kadai/test-result.csv"; do
code=$(curl -sI -o /dev/null -w "%{http_code}" "$url")
echo "$code $url"
done
200 以外が返ってきたら、下書きは作らずに私にエスカレーションする、というルールにしています。「ファイル名を変えたのにコミットし忘れていないか」「アップロードが漏れていないか」を疑う合図です。人間なら省略しがちな一手間を、毎回きっちり通してくれるのは安心感があります。
最後の送信ボタンは、必ず人が押す
もう一つ決めているのが、送信そのものは絶対にAIにやらせないことです。AIがやるのは「下書きを作る」ところまで。件名・宛先・本文を私が最終確認し、送信ボタンは自分で押します。
相手は毎週やり取りしている先生と運営の方々です。宛先の取り違えや、内容の勘違いで送ってしまう事故は避けたい。自動化して楽をしたい部分(調べる・組み立てる・チェックする)と、人が責任を持つべき部分(最終確認して送る)を分ける――この線引きが、定型業務を安心してAIに任せるうえでのポイントだと感じています。
派手ではないけれど、こういう仕事こそ
見積書やRFPの読み解きのような「大きな一発」の作業も、AIは頼りになります。ですが実際の業務時間を静かに削っているのは、毎週・毎月必ずやってくる、こういう小さな定型作業だったりします。
- 回数のずれを気にしなくていい
- CC を入れ忘れない
- リンク切れを毎回きっちりチェックしてくれる
- そのうえで、最終判断は自分の手元に残る
1通あたりの短縮時間は小さくても、「絶対に落とせない」というプレッシャーから解放される効果は、思っていたよりずっと大きいものでした。
Blue Leaf では、こうした「自分の業務のなかにある定型作業をAIに任せる」実践を積み重ねています。何を任せて、何を人の手元に残すか。その設計まで含めてご相談いただければと思います。

